言語変化・変異研究ユニット Language Change and Language Variation Research Unit

ワークショッププログラム06

東北大学大学院情報科学研究科「言語変化・変異研究ユニット」主催
第6回ワークショップ

2020年8月16日(日)〜 8月17日(月)

会場:Google Meetによる遠隔会議形式(参加用URLは参加申し込みされた方に配布)

参加申し込みは、こちらからお願いします。  

 

8月16日(日)

  • 挨拶:13:00〜13:05
  • Session 1:13:05〜13:35 (発表30分のあと質疑応答10分; 以下同)

    前田雅子(西南学院大学)
    「長崎方言の敬語形態素とAnti-Homophony」

    •  標準語において、敬語形態素 (r)areは受動形態素 (r)areと共起不可能である。このことから、Hasegawa (2006)は、(r)areは一つの語であり、文脈により解釈が異なると主張した。

      (1)
      *先生は花子に叩かれられた。

       しかし、長崎方言では、敬語形態素(r)asuは受動形態素(r)areと受動―敬語の語順で共起可能であることから、これらは異なる形態素であることがわかる。

      (2)
      a. 先生は花子に叩かれらした。(tatak-are-rasi-ta)(PASS-HON)
      b. 先生は花子に叩かされた。 (tatak-as-are-ta)(*HON-PASS)
       

       本発表では、標準語と長崎方言について、vP-TP内に現れる形態素(動詞の自他交替、受動、使役、アスペクト、敬語など)の語順や共起制限を観察することで日本語のvPのカートグラフィ-構造を明らかにする。

       また、(1)のように一部の形態素について共起制限が観察されることについては、Anti-Homophonyにより説明し、その支持証拠を提示する。


       参考文献:
      Hasegawa, Nobuko. 2006. Honorifics. In The Blackwell companion to syntax 2, ed. Martin Everaert and Henk van Riemsdijk, 493-543. Oxford: Blackwell.

  • Session 2: 13:50〜14:20

    佐野真一郎(慶応義塾大学)
    「音変化における通時と共時の接点,及び現代日本語の韻律特徴の変化に関する実証的検討」

    •  本発表では,音声的特徴の通時変化に注目した2件の調査結果を報告する。

       まず,現代日本語において対立を担う促音・単音の持続時間を例として,その共時的音声実現が,機能負担量仮説が主張する弁別性が高い音素の音変化に対する耐性とどういった関係を持ち得るかについて検討した。『日本語話し言葉コーパス』のサブセットから,促音と単音を網羅的に抽出し,(a)最小対を持ち得る(対立を担い得る)場合と(b)そうでない場合に分類し,それぞれの持続時間を比較したところ,bの場合と比べてaの場合では,促音の持続時間はより長く,単音の持続時間はより短く発音される傾向が統計的有意差として確認された。また,この傾向はシャノンのエントロピーで表される情報性に従うことも確認した。この結果は,現代日本語の促音・単音に,単語の区別を際立たせる弁別的強調発音が見られ,共時的音声実現が音変化における通時的特徴に影響を与える可能性を示している。

      更に,韻律特徴の例としてピッチレンジに注目し,この特徴が半世紀の間にどのような変化をしたのかについて『日本語話し言葉コーパス』『昭和話し言葉コーパス』を用いて検証した。両コーパスのサブセットにおける録音音声を発話単位に分割し,ピッチレンジを計測した。コーパス間比較の結果,ピッチレンジは『日本語話し言葉コーパス』において『昭和話し言葉コーパス』より,有意に低い値を示した。この結果は,現代日本語におけるピッチレンジが半世紀の間に狭まってきているという可能性を示している。

  • Session 3: 14:35〜15:05

    鈴木亨(山形大学)
    「属性評価文の拡張用法-活動動詞と形容詞の臨時的組み合わせ」

    •  書きことばを含む現代英語では、ややくだけた表現として<主語+活動動詞+形容詞>の形式で、形容詞が主語の属性を描写すると考えられる(1)のような属性評価文の拡張用法が散見される。

      (1)
      a. They are different. They think different. They act different.
      b. You walked weird across the stage.

      これらの例では、一見すると動作主の行為様態を副詞的に描写しているようであるが、その行為に関連して動作主の属性を話し手が評価しているとも解釈できる。標準的な語法に照らすと、副詞ではなく形容詞という選択が、あるいは属性評価文における活動動詞の使用が、逸脱的とみなされうるが、一定の使用例があるのは事実である。これらの表現の意味解釈と成立のしくみについて考察する。

       本発表では、(1)当該表現における意味解釈は、いわば全知の視点を持つ話し手・書き手が行為者の内面を特権的に捉える内的視点(internal vantage point)(Broccias 2011)からの描写であること、(2)活動動詞と形容詞の臨時的な組み合わせの構造は、認知言語学的には混交(blending)による分析(cf. Taylor 2012)、生成統語論的には、叙述関係(predication)を担う機能範疇に基づく分析(cf. den Dikken 2006)が可能であることを論じる。また、当該表現の使用例の相対的な希少さや容認度の揺れについても、語用論的観点から考察を加えたい。

      参考文献:
      Broccias, Christano (2011) “Motivating the Flexiblity of Oriented -ly Adverbs,” Motivation in Grammar and the Lexicon, ed. by Klaus-Uwe Panther and Gunter Radden, 71-88, John Benjamins, Amsterdam.
      Den Dikken, Marcel (2006) Relators and Linkers: The Syntax of Predication, Predicate Inversion, and Copulas, MIT Press, Cambridge, MA.
      Taylor, John (2012) The Mental Corpus: How Language Is Represented in the Mind, Oxford University Press, Oxford.

  • Session 4: 15:35〜16:05

    田中智之(名古屋大学)
    「受動虚辞構文における主語位置の変化」

    •  現代英語において、受動分詞を伴うthere構文、すなわち受動虚辞構文の主語は、受動分詞に前置詞句が後続する以下の例に見られるように、受動分詞に先行する位置、および前置詞句に後続する位置に現れることができるが、受動分詞の直後の基底位置に生じると容認不可能となる。

      (1)
      a. There are several large packages placed on the table.
      b. *There are placed several large packages on the table.
      c. There are placed on the table several large packages. (cf. Chomsky (2001: 20))

      一方、いくつかの文献において(Breivik (1990), Jonas (1996))、初期英語の受動虚辞構文における主語の分布は比較的自由であり、中英語と近代英語では(1b)のような語順が可能であったことが観察されている。
       本発表では、歴史コーパスを用いた調査により受動虚辞構文の歴史的発達、特に主語の分布の変化を明らかにするとともに、機能範疇Pred(ication)の出現(Tanaka and Yokogoshi (2010))、およびVP内の基底語順の変化(Pintzuk and Taylor (2006))の観点から、受動虚辞構文の主語位置の変化を説明することを試みる。また、縮約関係節としての構造を持つ受動虚辞構文の歴史的発達についても考察する。

      参考文献:
      Breivik, Leiv (1990) Existential There: A Synchronic and Diachronic Study, Novus Press, Oslo.
      Chomsky, Noam (2001) “Derivation by Phase,” In Michael Kenstowicz (ed.), Ken Hale: A Life in Language, 1-52. MIT Press, Cambridge, MA.
      Jonas, Dianne (1996) Clause Structure and Verb Syntax in Scandinavian and English, Doctoral dissertation, Harvard University.
      Pintzuk, Susan and Ann Taylor (2006) “The Loss of OV Order in the History of English,” In Ans van Kemenade and Bettelou Los (eds.), The Handbook of the History of English, 249-278. Blackwell, Oxford.
      Tanaka, Tomoyuki and Azusa Yokogoshi (2010) “The Rise of a Functional Category in Small Clauses,” Studia Linguistica 64, 239-271.

  • Session 5: 16:20〜16:50

    小川芳樹(東北大学)
    「極小化子NPIの文法化と上方再分析」

    •  数量の極小性をあらわす「a word/a soul」のような英語の極小化子(minimizer)は、焦点要素evenを随意的に伴い、否定極性表現(NPI)として機能するが、そのときのaは、通常の名詞句における不定冠詞aが占めるのと同じ機能範疇の主要部を占めると仮定できる(Tubau 2016)。

       

      これに対して、本発表では、対応する日本語の「一(ONE)+類別詞(CL)」形式の極小化子NPIについて、英語のaと違って、文法化を受けており、名詞句内で数詞・類別詞が占める機能範疇から、焦点要素または量化子が占める機能範疇へと上方再分析(upward reanalysis; Roberts and Roussou (2003))を受けていると主張する。その根拠として、特に名詞を後置修飾するタイプの「N+ONE+CL」型の極小化子NPIについての以下の事実を指摘する。

       

      (1) 日本語では「N+一+CL」と焦点要素「も/さえ」が共起不可能であり(例:一人の子ども{も/さえ}いない; 子ども一人(*も/*さえ)いない)、英語のNPI構文に見られるようなevenと極小化子の共起に関する随意性はない(例:I did not see (even) a soul./I saw not (even) a soul.)。

      (2) 述部に隣接しなければならない。(例:Not a soul was seen in the street./*雲一つ空にはなかった)

      (3)「誰一人/何一つ」のような合成性を欠くNPIが存在する。

      (4) 「一+CL」が隣接する名詞(N)を量化しないものがある(例:太郎は風邪一つひいたことがない/*太郎は一つの風邪もひいたことがない)。

      (5) (1)の合成的な構文の頻度は平安時代から漸進的に増加してきたが、(3)の構文は江戸時代に現れ、(4)の構文は明治時代に現れた比較的新しい構文である。

      参考文献:
      Ochi, Masao (2016) “Numeral Classifiers, Negative Polarity, and Movement to the Nominal Periphery,” Nanzan Linguistics 11, 35-56.
      Roberts, Ian G. and Anna Roussou (2003) Syntactic Change, Cambridge University Press, Cambridge.
      Tubau, Susagna (2016) “On the Syntax of English Minimizers,” NLLT 34, 739-760.
      吉村あき子 (1999)『否定極性現象』英宝社, 東京.

  •  
    Guest Lecture 1: 17:10〜18:30 (発表80分のあと質疑応答10分)

    高橋英光(北海道大学名誉教授)
    「動詞の使用頻度と項構造から見た英語の行為指示表現」

    • 依頼、命令、助言、提案などの行為指示(directives)はヒトの生存にとって欠かせない言語コミュニケーションの一つである。いかなる言語にも「直接的」な行為指示表現(例えば、命令文Give me a break!)と「より間接的」な行為指示表現(例えば Can you give me a break?や Would you mind giving me a break?)が存在する。行為指示研究は一般に推論やポライトネスなどを含む「語用論」の分野で扱われ、動詞と項構造にはほとんど注意が払われなかった。その一方で、動詞と項構造については膨大な量の研究が多様な理論的枠組みの中で行われてきたが、発話行為がもたらす影響にはあまり目が向けられなかった。

      本講演では、 動詞の頻度と項構造に着目すると行為指示(表現)についてどのような知見・洞察が得られるのかを論じる。また発話行為と動詞・項構造の研究にコーパスを用いる際に気づいた課題や問題点に触れたい。

8月17日(月)

  • Session 6: 10:00〜10:30 (発表30分のあと質疑応答10分; 以下同)

    前田 満(愛知学院大学)
    「英語史に見る否定要素の脱落」

    • 口語英語には、構文形式と論理解釈の間に「ずれ」が見られる構文がいくつか存在する。本発表でとり上げる次の構文もその1つである。

      (1) If it isn’t the Cooper family.

      この文は「なんとクーパーさん一家じゃないですか」と解され,notがあっても否定は表さない。本発表では,こうした極性 (文の肯定/否定) の「ずれ」は,否定的意味をもつ要素の脱落 (dropping)――これを「NEG脱落」と呼ぶ――によって生ずると主張する。すなわち、否定を表す要素が脱落したために、表層の極性と解釈の間に表面上の「ずれ」が生じたと考えるのである。本発表では、まずNEG脱落の実例をいくつかあげ、NEG脱落のメカニズムについて概略を述べたうえで、(1) の構文の起源と発達の過程を明らかにする。なお,本論の分析では,A. Goldbergの提唱する構文文法 (Construction Grammar) の諸概念,および筆者自身が提案した構文化のモデルを用いる。
       

  • Session 7: 10:45〜11:15

    新谷真由(文京学院大学)
    「現代フランス語のblanc<白>とnoir<黒>の多義の成り立ちを明らかにする」

    •  現代フランス語で<白>と<黒>を表すことばにblancとnoirがある。これらは物体の表面に得られる知覚色を意味するだけではなく,抽象的経験に付随する一定の価値も表すことがある。例えばblancはun mariage blanc (偽装結婚),une voix blanche (かすれ声),une colère blanche (静かな怒り) の表すように,色以外に<偽の><かすれた><静かな>などを表すことがあり,noirもde l’argent noir (隠し所得),une noire jalousie (邪な嫉妬),de noirs soucis (懸念),une colère noire (激怒) のように<非合法な><悪意のある><激烈な>などを表すことがあるが,実は両者にはこれら以外にも複数の意味がある。このため,blancとnoirは多義語であると考えられるが,それぞれの語の意味は独立して存在しているわけではなく,人間の普遍的な認知能力に基づいた中心義からの拡張関係にあったり,西欧独自の文化個別的な価値観に支えられたりしているものもある。また,blancとnoirはイディオムとして用いられる際,その光学的性質から同一線上の対極に位置するとみなされる傾向があるため,une vie mêlée de blanc et de noir (波乱万丈の人生) のように,各語が個別に持つ以上の意味を展開することもある。本発表ではフランス語における意味づけのメカニズムを明らかにすることを主眼に置くが,必要に応じて英語や日本語の表現との比較・対照も行う。

  • Session 8: 11:30〜12:00

    下地理則(九州大学)
    「琉球諸語における双数(dual):類型と歴史」

    • 本発表では,琉球諸語における代名詞の人称と数に関する含意普遍の提示と,通時変化のメカニズムに関する試論を提示する。日本語研究でよく知られた事実として,琉球諸語には1人称複数に除外と包括の区別がある。さらに,最近の記述研究の進展により,数に関して,単数-複数の対立だけでなく単数-双数-複数の対立を持つ方言の存在も明らかになっている。この,人称の側面(除外・包括の区別)と数の側面(双数の有無)という変数に着目しながら,本発表では以下の含意普遍を示す。

      (1) 双数が2人称に見られる方言は,1人称複数における除外・包括の区別がない。

       本発表の目的は,この共時的な含意普遍が意味するものを,通時的な観点から解釈することである。いくつかの方言で実証されるように,除外・包括の区別を持つ方言の中には,1人称の,しかも包括に限り,双数と思しき形式がある(例:伊良部方言のba-ftaa (1-DU.INCL) 「私たち(=私とあなた)」)。これは単に双数というより,「1+2人称」とでも言えるもので,本発表では双数の「萌芽の」形式,原双数(proto-dual)と呼ぶ。名前が示すように,これが琉球諸語の双数形式の発達の起源にあるというのが本発表の主張である。

      (2) 提案する通時的発達プロセス
      (a) 琉球祖語には,除外と包括の区別があった。さらに,1人称包括双数,すなわちproto-dualの形式*wagaFutari(「(直訳)我が2人」;伊良部方言のba-ftaaや与論方言のwa-ttaiなどに対応)があった。
      (b) 方言によって,除外と包括の区別が喪失した(与論方言などほとんどの北琉球語)。
      (c) そのような方言では,proto-dualは,結果的に,聞き手を含むか否かに関係のない1人称双数形式「私たち」になった。
      (d) これにより,語根が人称を,接辞が双数を表すという分析が定着する。与論方言のwa-ttaiを例にすれば,wa-が1人称を,-(t)taiが双数を表すということである。
      (e) (d)の段階を経て,今や双数の接辞として人称から切り離された形式が2人称,3人称へと波及していった(与論:uree-tai (2-DU), ari-tai (3-DU))。

      このシナリオによって,(1)で見た「2人称以上に双数がある方言(=(2e)の段階にある方言)は1人称複数の除外・包括の区別を欠く(=(2b)の段階を経ている)」という含意普遍が説明される。

  • Session 9: 13:00〜13:30

    堀内ふみ野(大東文化大学)
    「子どもの前置詞産出における響鳴率の異なり」

    •   会話では、「今日寒いね。」と言われて「今日寒いよね。」と返答する事例のように、先行発話で使われていた言語資源を再利用して後続の話者が発話する現象がしばしば観察される。Du Bois (2014) の対話統語論において、こうした発話間の類似性を活性化させる現象は「響鳴(resonance)」と呼ばれ、響鳴を通した発話は話者が対話への関与を深める効果を持つとされている。響鳴に着目した分析は大人同士の会話を扱ったものが多数であるが、一部で子どもの言語使用を分析した事例研究 (e.g. Köymen and Kyratzis 2014; 堀内 2018) も行われ、響鳴を介した言語産出によって語や構文の習得が促進される面があることが示されている。本発表では、子どもによる英語前置詞の使用事例を響鳴の観点から分析し、前置詞の習得における対話的相互行為の役割を探る。まず、堀内 (2018) に基づき、子どもの前置詞の産出が響鳴を介して起こっているか、どのような単位で起こっているかをCHILDES (MacWhinney 2000) を用いて調査した結果を示した上で、隣接した発話が子どもの前置詞産出の足がかりとなっていることを論じる。さらに、響鳴を介した産出が起こる割合に前置詞ごとの相違が見られるかどうかを観察し、相互行為の中で各前置詞が使われる際の文法的・機能的特性と、響鳴の起こりやすさとの相関を探る。

      参考文献:
      Du Bois, John W. 2014. “Towards a dialogic syntax.” Cognitive Linguistics 25 (3): 359-410.
      堀内ふみ野. 2018.「親子のやりとりにおける前置詞の使用―対話統語論のアプローチ―」山梨正明編『認知言語学論考』14: 291-327. 東京: ひつじ書房.
      Köymen, Bahar and Amy Kyratzis. 2014. “Dialogic syntax and complement constructions in toddlers’ peer interactions.” Cognitive Linguistics 25: 497-521.
      MacWhinney, Brian (2000) The CHILDES Project: Tools for Analyzing Talk, 3rd Edition, Lawrence Erlbaum Associates, Mahwah, NJ.

  • Guest Lecture 2: 13:50〜15:10 (発表80分のあと質疑応答10分)

    村杉恵子(南山大学)
    「幼児の言語獲得から生成文法理論へ」

    • 極小主義理論においては、ヒトには文法知識として併合とラベル付けが生得的に賦与されていると考えられている。では幼児は大人と同質の普遍文法を、母語獲得の最初期から知っているのであろうか。もしそうであるのであれば、言語に観察される多様性はどのように説明されるのであろうか。 本発表では、まず、第一部として日本語を母語とする幼児言語の特徴をOgawa Corpus等 から概観し、そのうえで、第二部として言語獲得の最初期に観察される「誤用」(大人とは異なる形式)として広く知られている二語文や主節不定詞現象を概観した上で、そういった「誤用」が文法理論に示すところについて考える。英語を獲得する幼児の示す言語獲得途上に観察される「誤用」にも言及しながら、それらの中間段階を総合的に整理し、対照的な言語獲得論の文法理論へ示唆するところについて論考する。
       

本ワークショップは、科学研究費・基盤研究(C)「言語変化と言語発達の比較に基づく普遍文法とミクロパラメータの解明」、東北大学運営費交付金、および、東北大学大学院情報科学研究科シンポジウム支援経費による補助を受けています。
問い合わせ先: 小川芳樹 @