情報科学研究科の紹介
東北大学大学院情報科学研究科は全学的協力のもとに1993年、東北大学で最初の独立研究科の一つとして創設されました。本研究科は、情報科学を自然科学系の分野としてだけでなく、人文・社会科学系の分野にもまたがる先端的かつ総合的・学際的な基礎学問として育成・発展させるための独立研究科で、 情報基礎科学専攻、システム情報科学専攻、人間社会情報科学専攻、および応用情報科学専攻の4つの専攻から構成されています。詳しくは、こちらをご覧ください。
人間社会情報科学専攻の紹介
情報化は社会にいかなる変化をもたらすのか?そもそも情報は人間の精神・認知・文化のフレームの中でどのように捉えられ、伝達されるのか?情報化が引き起こす社会問題はどのようにすれば解決できるのか?人間社会情報科学専攻では、これらの問いに答えるべく学際的な教育研究を推進しています。構成員のバックグラウンドも認知心理学・哲学・言語学・社会学・メディア論・地域科学・土木工学と多岐に渡っています。詳しくは、こちらをご覧ください。
言語テキスト解析論研究室の紹介
本研究室は「人間社会情報科学専攻」の中でも「人間情報学講座」に属する専攻の1つで、人文系の言語学について研究しています。
言語学とは、人の言語能力がどのように獲得されたか、その能力が他の認知能力との相互作用によりどのように運用されるか、また、その言語運用の実態がどのように変化し、どのような変異を生み出すかについて研究する学問です。
中でも、本研究室では、生成文法理論という1950年代半ばに誕生した言語理論と、2000年代以降に普及した電子コーパスを使って、人の言語知識の獲得メカニズムと、その獲得された能力に基づいて生み出される表現形式について、理論とデータの両面から研究しています。
従来の理論言語学では、我々の言語知識としてのI言語(内的言語、個人言語、内包言語)の研究は、個人の内省判断のみに基づいて行われていました。しかし、情報コミュニケーション(ICT)技術の進展により、我々がこれまで均質的であると想定していた個人言語(例えば、日本語)の様相には、個人差や方言差が無視できない程度に多く存在することが判明してきています。また、言語変化の速度も従来よりも速くなってきています。これらの変化や変異の大きさのために、個人の内省判断のみに基づく理論言語学の進展には、不正確さや不確かさによる限界も見え始めています。
幸い、インターネットの登場と電子コーパスの普及、および統計学の進展により、共時的なE言語(外的言語、外延的言語)の実態を大規模な集団から収集し、それを統計的に分析し、一定の記述的一般化を得ることで、I言語についての理論言語学の仮説の妥当性を検証し、必要に応じて修正していくという新たな研究手法が可能になっています。
そこで、本研究室では、これらのデータ科学の手法と従来の自然時科学の手法を融合することにより、今後10年、20年にわたって持続可能な新たな理論言語学の展開への道筋をつけることを目標としています。特に、複雑語や構文の成り立ちと用法についての詳細かつ大規模に得られた共時的な事実ないしは記述的一般化と、常に変化しているE言語の特徴を通時的に比較することにより得られる記述的一般化を基盤として、自然言語の普遍性とはどのようなものか、また、人の言語知識はどのように獲得され、どのように変化・変異を生じるのかを、生成文法の枠組みのもとで解明しようとしています。
具体的には、こちらを参照してください。
本研究室の卒業生の進路について
本研究室には博士前期2年の課程と博士後期3年の課程とがあります。
前期2年の課程(いわゆる「修士課程」)の修了生は、これまでに40名を超えており、修士課程修了生の就職先は、中学・高等学校の英語教員が主ですが、大学の助手・事務職員もおり、博士後期3年の課程に進学した学生や、海外の大学に留学した学生も3分の1程度います。
本研究室の学生は、言語情報学・学習心理情報学の教員が開講する授業も併せて単位取得することで、中学校および高等学校の「英語」専修免許を取得することができます。
博士後期3年の課程(いわゆる「博士課程」)の修了生は、そのほとんどが大学または高等専門学校(高専)の教員となっています。または、すでに大学や高等学校に在籍する方が学位論文を提出していわゆる「論文博士」を取得したり、社会人入学により学位を取得したケースもあります。
いわゆる「論文博士」や「社会人入学による修了生」も含めて、これまでの修了生は20名を超えています。
博士論文一覧
- Katsuragawa, H. (2006)
- The Syntax and Semantics of Aspectuality and Related Issues
- Suzuki, H. (2006)
- Word Order Variation and Determinants in Old English
- Honma, Y. (2007)
- A Cognitive-Linguistic Approach to Noun Complement Selection in English and Japanese
- Sugawara, T. (2008)
- Lexical Conceptual Structure and Qualia Structure in Verbal and Nominal Semantics in English
- Suzuki, H. (2008)
- 「様態性」と「状況性」に視点を置く副詞配列の分析
ーー機能階層領域内における英語副詞の統語的生起実態と意味的連続性ーー - Mimura, T. (2009)
- A Unified Leftward Ā-movement Analysis of Focus Constructions in English and Japanese
- Inoi, S. (2009)
- A Discourse Analysis of Japanese EFL Learners’ Production of Referential Expressions in Written English Narratives
- Ishiyama, T. (2012)
- A Study of Phases and Its Applications
- Konno, M. (2013)
- A Descriptive Study of Inverted Usages of Direct Quotation in English
- Kosuge, T. (2016)
- A Diachronic Syntax of Complex Predicate and Case Conversion in Japanese
- Yi, L. (2025)
- Grammaticalization of Verbs in Mandarin Chinese: An Analysis in terms of Cartography and Upward Reanalysis
就学・研究・留学の支援について
現在、情報科学研究科の学生に対しては、東北大学、または、情報科学研究科が提供するさまざまな奨学金(グローバル萩奨学金)や、留学支援制度や、研究の推進を財政的に支援するプログラムが充実しています。