言語変化・変異研究ユニット Language Change and Language Variation Research Unit

研究ユニットの目標

本研究ユニットでは、自然言語の統語論・形態論・意味論・音韻論・英語史・言語類型論・方言学・社会言語学等を専門とする研究者が、それぞれの得意とする領域において、言語情報は歴史的にどのようなプロセスを経て現在の形へと変化して来たか、言語情報の中のどのような特徴が変化を受けやすいか、また、どのような特徴がいかなるレジスター・方言において変異として現れたり維持されたりしやすいか等を、大規模コーパスを用いて調査し、実験心理学・自然言語処理を専門とする研究者とも連携を諮りながら学際的な共同研究を推進します。そして、これを通して、自然言語の内在的特性のうち、従来の演繹的仮説と文献資料とフィールドワークと内省的言語知識のみにもとづいた理論言語学のもとでは必ずしも解明できていない自然言語の通時的変化と共時的多様性に関する特徴を解明するとともに、その成果を国内外に発信することを目指します。

研究背景

生成文法理論を基盤とする統語論・形態論・語彙意味論・音韻論の領域では、1950年代以降、自然言語の普遍性と共時的多様性の解明につながるような膨大な言語事実が発見され蓄積されてきました。中でも、カートグラフィーは、言語の共時的多様性を詳しく調査することを通して、言語の普遍性を解明しようとするプロジェクトとして、ここ15年ほど注目を集めています。これらの多くは言語の共時的側面に注目したものですが、生成文法に基づく言語の通時的変化についての本格的な統語的研究も近年脚光を浴びており、2012年にはJournal of Historical Syntaxという国際ジャーナルも設立されました。

一方、一般的認知能力を基盤として、自然言語の語句の構造と意味がどのようなプロセスを経て変化し得るかについては、ここ20年ほどの認知言語学・構文文法・文法化理論の急速な進展の中で、広範囲にわたる多様な言語事実がわかってきました。中でも、文法化は、Meillet (1912)にまでさかのぼる歴史ある研究分野です。

ところで、史的コーパスを含む近年のICTツールの普及により、新たな方法論に基づく既存の言語理論の検証と再構築が可能となってきています。

また、現代語コーパスの爆発的普及により、自然言語処理の領域では、新たな方法論に基づく言語情報解析技術が次々と開発されつつあり、「ビッグデータ」を踏まえた自然科学は、既存の自然科学の方法論や目標の修正すら迫る勢いで進展しています。理論言語学も、自然科学を標榜する以上、この変化に無関心でいることは賢明な選択であるとは言えません。

これらの背景を踏まえて、本研究ユニットでは、自然言語の統語論・形態論・意味論・音韻論・英語史・言語類型論・方言学・社会言語学等を専門とする研究者が、それぞれの得意とする領域において、どのような特徴が変化を受けやすいか、その変化はどのようなプロセスを経るか、また、どのような特徴がいかなるレジスター・方言において変異として現れたり維持されたりしやすいか等を、大規模コーパスを用いて調査し、実験心理学・自然言語処理を専門とする研究者とも連携を諮りながら学際的な共同研究を推進します。そして、これを通して、自然言語の内在的特性のうち、従来の演繹的仮説と文献資料とフィールドワークと内省的言語知識のみにもとづいた理論言語学のもとでは必ずしも解明できていない特徴を解明するとともに、その成果を国内外に発信することを目指します。

謝辞

本研究ユニットは、東北大学大学院情報科学研究科運営会議および研究企画委員会にて承認を受け、2013年2月1日から2016年3月31日までの約3年間の当初計画をもって、言語情報学・言語テキスト解析論合同研究室を中心としてスタートしましたが、このたび、2016年4月1日から、総勢30名のメンバーからなる組織としてリニューアルされ、2019年3月31日までの3年間の次期計画をもって活動を継続します。本研究ユニットの活動にあたっては、以下の資金による支援を受けています。

  • 東北大学運営費交付金(2013年2月〜)
  • 東北大学大学院情報科学研究科講演会・シンポジウム開催支援経費(2013年10月〜)
  • 東北大学「杜の都ジャンプアップ事業 for 2013」交付金(2013年2月〜2015年3月)
  • 科学研究費・基盤研究(C)課題番号24520526(史的コーパスを活用した日英語の動詞と形容詞の文法化についての統語論的研究)(2013年2月〜2015年3月)
  • 科学研究費・基盤研究(C)課題番号16K02753(形態部門と統語部門にまたがる文法化と構文化についての統語論的研究)(2016年4月〜2019年3月)